フィリピン沖M8クラス地震で津波警報発令|車椅子利用者が考えるべき現実と備え

車椅子利用者が津波警報に備えて避難ルートを確認する防災イメージ 01 防災・避難
津波警報が発表された際、車椅子利用者は避難経路や支援体制を事前に確認しておくことが重要です。

フィリピン沖の巨大地震で津波警報

2026年6月8日朝、フィリピン沖でマグニチュード8クラスの大規模地震が発生しました。

私自身も当日、自宅で以下のような流れを経験しました。

  • 8:38 フィリピン沖で地震発生
  • 9:05 スマートフォンのアラーム
  • 9:10 スマートフォン画面(ヤフー)に津波関連情報表示
  • 9:22 掛川市の広報放送で「海岸に近づかないように」との呼びかけ

遠く離れたフィリピンで起きた地震ですが、日本でも津波警報・津波注意報が発表されました。

ニュースを見ると、

「海岸から離れてください」

「高台へ避難してください」

という言葉が繰り返されます。

しかし車椅子利用者として考えた時、いつも疑問に思うことがあります。

それは、

『高台へ避難してくださいと言われても、本当に行けるのか?』

という現実です。

今回は実際の警報発表を振り返りながら、車椅子利用者の視点で津波警報への備えについて考えてみたいと思います。


津波警報が出た時、車椅子利用者は何が困るのか

津波避難の基本は、

「より高い場所へ、より早く避難する」

です。

しかし車椅子利用者の場合、それが簡単ではありません。

① 移動速度が遅い

健常者なら走って移動できます。

しかし車椅子の場合、

  • 段差
  • 傾斜
  • 砂利道
  • 未舗装路
  • 強風

などで移動速度が大きく落ちます。

特に手動車椅子の場合は長距離移動そのものが困難です。

「すぐ逃げる」が前提になっている防災計画は、必ずしも車椅子利用者に当てはまりません。


② 一人では避難できない人がいる

私自身もそうですが、

  • 車への乗り降り
  • 急坂
  • 階段
  • 長距離移動

などは介助者が必要な場合があります。

つまり、

地震発生

津波警報

すぐ避難

という流れが成立しない人が実際にいます。

避難開始前に

「誰が助けてくれるのか」

が重要になります。


③ 夜間はさらに危険

私は以前、夜間に車椅子が砂利にはまり動けなくなった経験があります。

スマホも持っておらず、自力で少しずつ移動して帰宅するのに約2時間かかりました。

もしそれが冬だったら。

もし津波避難中だったら。

そう考えると非常に危険です。

夜間の津波避難は、

健常者以上に車椅子利用者のリスクが高くなります。


④ 電動車椅子は停電リスクがある

電動車椅子利用者にとっては、

バッテリー残量

が命綱です。

長期間停電すると、

  • 充電できない
  • 移動できない
  • 避難できない

という問題が発生します。

津波だけではなく、その後の生活にも影響します。


私が感じた今回の警報の良かった点

今回の津波警報では、

  • 気象庁
  • スマートフォン
  • 自治体広報

から情報が届きました。

複数の方法で警報が届くことは非常に重要です。

特に高齢者や障害者の場合、

テレビを見ていない

スマホ通知を見逃す

ということがあります。

情報源が複数あることは命を守る上で大きな意味があります。


車椅子利用者が今すぐ確認すべきこと

今回のような遠地地震による津波警報は、

実は事前準備の重要性を再確認する機会でもあります。

① 自宅周辺の避難先を確認

避難所だけではなく、

  • 津波避難ビル
  • 高台
  • 鉄筋コンクリート建物

を確認しておきましょう。

場合によっては、

「横へ逃げる」

より

「上へ逃げる」

方が安全です。


② 実際に行ってみる

地図だけでは分かりません。

実際に行くと、

  • 段差
  • 傾斜
  • 狭い歩道
  • 車止め

などが見えてきます。

私がNPO活動で取り組もうとしている避難経路調査も、まさにここが目的です。


③ 支援してくれる人を決める

災害時に重要なのは、

「誰かが助けてくれるだろう」

ではなく、

「誰が助けてくれるのか決まっている」

ことです。

家族

近所の人

友人

自治会

支援者

などと事前に話しておくことが重要です。


④ スマホを常に持つ

私自身の反省でもあります。

スマホがあれば、

  • 警報受信
  • 地図確認
  • 電話
  • SNS
  • 位置共有

ができます。

防災用品以前に、

スマホを持つ習慣が重要だと感じています。


津波避難で本当に必要なのは「寄り添う防災」

防災というと、

備蓄しよう

逃げよう

準備しよう

と言われます。

もちろん大切です。

しかし車椅子利用者や高齢者の中には、

準備していても一人では逃げられない人がいます。

だからこそ必要なのは、

「自己責任の防災」

ではなく

「寄り添う防災」

だと思います。

地域の人が気にかける。

家族が連絡を取る。

近所同士で声を掛け合う。

そうしたつながりこそが命を守ります。

今回の津波警報を通して、

改めて感じたことでした。


まとめ

今回のフィリピン沖地震による津波警報は、静岡県でも多くの人が警戒する出来事となりました。

車椅子利用者の立場から見ると、

  • すぐ避難できない
  • 夜間移動が危険
  • 介助が必要
  • 電動車椅子は停電に弱い

という課題があります。

だからこそ、

災害が起きてから考えるのではなく、

平時から避難経路を確認すること

支援者を決めておくこと

地域とのつながりを作ること

が大切です。

津波は待ってくれません。

しかし準備は今からできます。

この記事が、車椅子利用者やその家族が防災について考えるきっかけになれば幸いです。


竹内 啓悟(Wheelchair Project Japan 代表)

静岡県在住の車椅子ユーザー(頚髄損傷)。

車椅子での防災、バリアフリー、福祉、地域イベントを実際に体験・取材し、当事者の視点で情報を発信しています。

Wheelchair Project Japanでは、「誰もが安心して暮らせる地域づくり」を目指し、車椅子ユーザーの視点から現地調査や情報発信に取り組んでいます。

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